コロナ禍の留学事情を海外大学関係者に聞く【ドイツ編】 | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|教職員向け

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危機管理コラム

コロナ禍の留学事情を海外大学関係者に聞く【ドイツ編】

およそ2年の間、新型コロナウイルスの世界的感染のため、海外渡航が制限され、国際交流プログラムの多くは中止を余儀なくされていましたが、文部科学省から『日本人学生の海外留学について(周知)6月15日付』の発表を契機に、一部の大学ではすでに派遣を開始し、また一部では来春からの中長期留学の再開を決定しています。そこで、11月にも数名の日本人学生が留学をスタートしたドイツ・ハイデルベルグの学校、F+U Academy of Languagesジャパンセンター責任者のノイス恭子さんにドイツの様子や学生生活状況についてお聞きしました。

コロナ渦のドイツについて

JCSOS:現在のドイツ、ハイデルベルグの感染状況をお知らせください。
ノイスさん(以下敬称略):ドイツでもバイエルン州とザクセン州はワクチン未接種率が高く感染者数も多いのですが、ハイデルベルクのあるバーデン=ビュルテンベルク州は比較的落ち着いており、特にハイデルベルクはその中でも感染者数は低い数字を保っています。
その為、多くの地域で中止されたクリスマスマーケットもハイデルベルクでは行われており、ワクチン接種証明があれば飲食も可能となっています。

JCSOS:コロナ前の状況と比較して、日常生活で変わったことはありますか?また、不便になったと思うことがあればお知らせください。
ノイス:やはり一番大きく変化した点であり、またドイツ人が嫌がりながら従っていることは「マスク着用義務」です。指定された範囲以外ではすぐにマスクを外しているので、その都度ここはマスクが必要なのかどうかと確認しながらの生活を煩わしく感じているようです。

JCSOS:ハイデルベルグ周辺の医療状況はいかがでしょうか。コロナの影響で一般の治療に支障などは生じていますか?
ノイス:緊急を要する手術でなければ、予約をずらす相談が病院より例外的にあるようですが、まだ一般の治療が圧迫されているという事はないようです。
感染者数は増えていますが、重症患者数は以前のピーク時よりも格段に少ない状況で、ほとんどの場合は自宅隔離で対応できています。

JCSOS:マスクの着用は市民に浸透をしていますか?また、マスクや除菌スプレーなどはいくらくらいで購入が可能ですか?
ノイス:ドイツ人は規則を従順に守る傾向にあります。政府や自治体が指示した場所や方法に従い、マスク着用は守られています。ただし日本とは異なり、指示がない場所で自主的にマスクを着用するという事はほぼありません。
抗菌対策グッズは街中にあるドラッグストアやスーパーマーケットで購入が可能で、料金も正常な範囲内(例:抗菌スプレー200円程度)で販売されています。
また、自宅で出来る抗原簡易テストも100円程度で購入でき、気軽に自分でチェックできるようになっています。

学生生活への影響について

JCSOS:現在の学校の授業形態をお知らせください。対面式授業は開始されていますか?
ノイス:現在は対面レッスン、オンラインレッスン、ハイブリッドレッスンの3形態から選んでいただけます。感染対策をしっかりした上で、2021年6月より対面レッスンは期間を通して行われております。

JCSOS:現在の日本人を含む留学生の受け入れ状況をお知らせください。
ノイス:国が定めた規定に則り、入国できるすべての外国人留学生を受け入れています。現時点(2022年11月)での対面レッスン在籍学生数は、約350名となります。

JCSOS:留学生の滞在方法はどのようなものがありますか?コロナの影響で滞在先の手配が難しくなることなどはありますでしょうか?
ノイス:70%が寮、20%がホストファミリー、残りの10%が自己手配の住居に滞在しています。コロナが始まった当初は多くのホストファミリーが受け入れを中断しましたが、現在はほぼ以前のように受け入れを再開しています。
寮については一時期コロナ前より部屋数が減りましたが、今年度後半は留学生が戻ってきたことを受けて、新たな寮を契約し部屋数を増やしつつあります。

ドイツへ留学する学生へのアドバイス

JCSOS:コロナ禍の状況でドイツ留学を行う学生に対してアドバイスがあればお知らせください。
ノイス:日本での報道のみを見ていると不安に思う事も多いかと思いますが、現在ドイツに留学されている学生さんに聞くと、日本にいる時より以前通りの生活が出来て拍子抜けしたとおっしゃいます。
どこにいてもご自身でしっかり感染対策をしながら生活をすることが大切です。必要以上に怖がらず冷静に事態を判断してください。

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「オミクロン株」の感染拡大が懸念され、依然として予断を許さない状況は続いています。このような状況の中では、日常的に最新情報を収集し、柔軟な対応ができるように留学に備えることをお勧めいたします。

*この記事は11月26日に実施したインタビューを基に掲載しております。
*この記事およびF+U Academy of Languagesに関するお問い合わせはJCSOS事務局(TEL:03-6418-0717、 E-mail:info@jcsos.org)までお願いいたします。

ノイス 恭子(ノイス キョウコ)F+U Academy of Languagesジャパンセンター責任者

経歴: 大学卒業後、高校の音楽教員として勤務ののち、ドイツのハンブルク・コンセヴァトリウムにて声楽科ディプロマ修了。日本帰国後は演奏家として活動の傍ら複数の教育プログラムに関与し、ゲストティーチャーとして各種学校にて特別授業を行う。
現在はドイツの F+U アカデミーオブランゲージにて勤務。特に日本人学生は現地での行き届いたケアが必要となる為、安心して留学生活を送ることが出来るようサポートをしている。さらに現地の空港警察、保健所、外国人局また領事館などの機関と密に連絡を取りながら日本の留学生に現地の確実な情報を発信している。

F+U Academy of Languages:ドイツ国内に大学や専門学校を持つ教育企業体であるF+Uグループの語学教育機関。ドイツ語教育のみならず、英語、スペイン語、フランス語、日本語など様々な言語コースを設けている。