コロナ禍の留学事情を海外教育機関関係者に聞く【カナダ編】 | JCSOS 海外留学生安全対策協議会|教職員向け

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危機管理コラム

コロナ禍の留学事情を海外教育機関関係者に聞く【カナダ編】

3月に入り日本の水際対策も少しずつ緩和され、国際的な人の往来も徐々に増えてきました。また、一部の会員では今春からの中長期留学を中心に海外派遣を再開しています。

そこで、海外派遣先として日本の学生が多く渡航する国の中から、今回はカナダとイギリスの教育機関関係者にそれぞれの国の現在の状況についてお話しを伺いました。

以下は、カナダ・トロント大学 Recruitment Assistant, International Programsの山本尚さんへのインタビューです。

コロナ前の状況と比較して、日常生活で変わったことはありますか?また、不便になったと思うことがあれば教えてください。
コロナになって一番変わったことは、人に会わなくなったということです。このパンデミックになって以降はずっと在宅勤務で、21年9月からは週1、2回くらいの出社になっていました。21年12月頃は感染者がずいぶん減ってきた時期だったので、プライベートで友人とクリスマスパーティーを計画していましたが、オミクロンが増えてきたためキャンセルとなりました。最近は海外アーティストのコンサートなど開催されるようになり、徐々に日常生活が戻ってきているように感じています。

マスクの着用は市民に浸透していますか?
基本的に交通機関や室内ではマスク着用が義務化されています。外を歩いている人の中にはマスクをしていない人もいますが、屋内に入る時はマスクをするというルールは守られていると思います。屋外ではマスクを着用してる人としてない人の数が半々くらいだと思いますが、屋内では限りなく100%に近いと思います。

マスクや除菌スプレーなどは購入できますか?値段は?
マスクも買えますし、サニタイザー(除菌スプレー等)も買えます。パンデミック当初は、値段も3倍近くになり手に入りづらかったですが、今では問題なく購入できます。
私が使用している医療系マスクの場合、ピーク時は50枚で100ドル近かったのですが、今では20ドルくらいと通常の価格になっています。

現在の学校の授業形態を教えてください。対面授業は開始されていますか?
2021年9月、新アカデミックイヤーがスタートした秋学期は、オンラインと対面の両方、ハイブリッドで授業を行っていました。
大学が今後のスケジュールを検討していた10月はオンタリオ州トロントでの感染者が少なかったため、22年1月からスタートする冬学期は100%対面での実施を計画をしていました。しかし昨年12月から今年の1月にかけて、オミクロン株の感染者が1万人を超えてきたため、このような状況では対面授業は難しいということになり、冬学期もオンラインで授業をスタートしました。現在では、オンタリオ州全体の1日あたりの感染者数が2,000人、トロントでも400~500人くらいまで減ってきたので、今週から対面授業を再開しています。夏は対面授業を前提に準備をしていますが、最終的な判断は2022年5月~6月頃にされると思います。

現在の日本人を含む留学生の受け入れ状況をお聞かせください。
2022年9月入学の願書を2月1日で締め切りました。カナダ国内からの志願者は増えていますが、海外からの志願者は減っています。コロナ前、トロント大学も20%近く留学生がいましたが、コロナの感染拡大が始まってからは17%くらいになったと思います。

留学生の滞在方法はどのようなものがありますか?コロナの影響で滞在先の手配が難しくなることなどありますでしょうか?
大学では大学寮を提供しています。コロナの感染対策のために、寮の受入人数も収容定員の50-60%に制限しています。そのため、入寮できる人数は減りましたが、期日までに申し込みをすれば滞在可能です。大学1年生は入寮が保証されていますので、ワクチン接種が済んでいて、PCR検査も陰性であればスムーズに入寮できます。
コロナ禍においては、寮滞在が一番安全でサポート体制も充実していると思います。寮では隔離フロアがありますし、食事も部屋に提供されます。そのため、安心感はあると思います。
トロント大学では、コロナに関することだけでなく、寮生活、大学生活、また勉強に関してなど相談が出来る人たち(スタッフ、カウンセラー、メンターなど)がたくさんいます。
特にメンタルヘルスに関してはトロント大学として非常に重要視していまして、スタッフやカウンセラーも新たに採用しました。コロナ禍でのストレス、生活の中で受けるストレスや、勉強のストレスなども手厚く対応しています。
また、例えば夏のプログラムに参加中にコロナに罹患したとしても、学内のスタッフが全て対応していくことになると思います。日本人の学生が日本語での対応を求めてきた場合は、私が対応することができます。日中はもちろん、夜でも日本語で私と話した方が良いという場合は対応します。

コロナ禍の状況でトロント留学を行う学生に対してアドバイスがあればお知らせください。
「留学に行きたい」という気持ちは非常に大事です。その気持ちがあるのであれば、トロントという町は、留学生を受け入れる条件(トロントの医療体制や大学の感染対策など)が揃っている町だと思います。但し、夏の短期留学を考えている方については、飛行機の予約は慎重していただきたいです。コロナの影響でプログラムがいつキャンセルになるか分からないので、可能な限り間際で発券するようにしていただきたいと思います。
一方、中・長期留学を考えている方については、トロントには留学生も来ていて、問題なく生活をしているので、そんなに心配する必要はないと思います。ただ、入国前にワクチン接種などの必要な準備はしっかりすることをお勧めします。

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「オミクロン株」の亜種で感染力が強いとされる「BA.2」への感染拡大が懸念され、依然として予断を許さない状況は続いています。このような状況の中では、日常的に最新情報を収集し、柔軟な対応ができるように留学に備えることをお勧めいたします。

*この記事は3月3日に実施したインタビューを基に掲載しております。
*この記事に関するお問い合わせはJCSOS事務局までお願いいたします。

山本 尚(やまもと なお)
University of Toronto, Recruitment Assistant, International Programs

2014 年 よ り ト ロ ン ト 大 学International Programs Office (IPO)に勤務。データ・コーディネイターとしてリクルートの傾向を分析するだけではなく、学生の成績傾向を分析し、アカデミックサイドへ提供もしている。2016 年 か ら は 上 記 に 加 え、 本 科undergraduate programs と IPO で開講する IFP、Summer Programs、Online Programs のリクルートも担当。

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