Ⅲ.アメリカへ留学する学生、学生を派遣する教職員へのアドバイス
JCSOS:コロナ禍において、アメリカへ留学生する学生、学生を派遣しようとしている教職員の方に対してのアドバイスをお願いします。
カーマン:住み慣れた場所を離れ、特に現在のようなコロナ禍を海外で過ごすには通常以上のリスクがあります。それでも学生が留学を望むのであれば、リスクが存在することを理解し、かなりの下調べやサポート体制を築いておいた方が良いと思います。
例えば、ホームステイ・寮で滞在する場合は、ホストファミリーやレジデントマネージャーが到着直後でも援助してくれるかと思いますが、アパートで一人暮らしをする場合は、基本的に自分の面倒は自分で見る覚悟が必要かと思います。そのため、24時間体制でサポートしてくれる体制(例えば、いつでも相談できる窓口など)を整えておく必要があると思います。また、アメリカ人学生でもコロナで外出禁止令が出たり、人との接触が無くなることで孤独感が増したり、アルバイトができず金銭的に困窮することで精神を病んだ学生が沢山いたようですので、外国人学生はそれ以上に、外国人であるが故の問題に直面する可能性も念頭に入れていた方が良いかと思います。
また、日本の医療費と比較してアメリカの医療費は非常に高いので、海外旅行保険の加入は必須だと思います。少なくとも海外旅行保険に加入していれば、ハワイには、日本人医師や医療通訳も多いので、健康に関しては日本人にとっては緊急事態にも対処しやすい環境だと思います。
最後に、先ほどの日米の医療費との違い等のように、社会システムの違いから生まれてくる危険性も把握しておいた方が良いと思います。
(インタビュアー:JCSOS事務局 上野明彦)
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インタビューを通じて、ハワイ大学では、大学全体、そして各部門でも感染対策を講じていることが分かりました。留学中は、町を散策することやホストファミリーと一緒に過ごす時間など、キャンパス外で過ごす時間もたくさんあります。コロナウイルスの感染対策も含め、場面場面に応じて、学生自身で対応できるように準備することが必要になります。インタビューの中にもあるように、コロナの感染対策を取ると同時に社会システムの違いがあることから、予想されるリスクを理解し、事前の下調べを十分にすること、そしてリスクを補完するサポート体制を築いて、派遣することをお勧めいたします。
*インタビューの中には、個人的な見解も含まれております。予めご了承くださいますようお願いいたします。
*この記事に関するお問い合わせはJCSOS事務局までお願いいたします。
Michiko Seki Kahmann (カーマン関美智子)
ハワイ大学マノア校アウトリーチカレッジ国際部カスタムプログラム責任者
経歴: 立教大学英米文学科卒業後、ハワイ大学マノア校にてESL(現SLS)修士号と日・英通訳翻訳者認定書を取得。ハワイにて大学講師、東京にて企業研修のコーディネーターを勤めた後、1996年よりハワイ大学マノア校アウトリーチカレッジ(前サマーセッション)国際部にてカスタムプログラムを担当。カスタムプログラム責任者として勤務する傍ら、2019年から2021年7月まで国際部長も兼任。与えられた制限内でニーズ合わせた質の高いプログラム作りを心掛ける。茨城県出身。
ハワイ大学マノア校(University of Hawaiʻi at Mānoa):1907年に設立されたハワイ州立大学です。ワイキキから北に約3キロ、マノアバレーにある美しいキャンパスでは、アメリカ全土、世界約80ヵ国からやって来た学生約19,000名が学んでいます。米国内はもちろん世界でもトップクラスの研究大学で、熱帯農業、熱帯医学、海洋学、天文学、電気工学、火山学、進化生物学、比較哲学、比較宗教、ハワイ研究、太平洋諸島研究、アジア研究、太平洋およびアジア地域の公衆衛生で高い評価を受けています。
ハワイ大学マノア校付属集中英語コースNICE(New Intensive Courses in English)プログラム:会話を中心とするコミュニケーション能力の向上と異文化理解を目的としたコースです。日本の大学、日本人に高い評価を受けています。