2022年7月1日より京都大学名誉教授 森純一先生が新たに理事として就任されましたのでご紹介いたします。
森 純一(もり じゅんいち)
【略歴】
京都大学名誉教授。1951年生まれ。一橋大学経済学部卒業、東京銀行(現三菱UFJ銀行)にて、東京・独・米にて勤務。2004年、京都大学国際交流センター教授となり、京都大学国際交流推進機構長を務め、学生派遣の推進、グローバル30などの国際プロジェクトの責任者となる。2018年、京都橘大学の国際英語学部教授として海外留学を志望する学生の指導に当たる。現在、京都橘大学監事、2021年、Kyoto MIEXオフィスを京都烏丸四条に開設し、大学の国際業務のコンサルタント業務に携わる。
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JCSOS理事就任に当たっての抱負
京都大学名誉教授 森 純一
この度、特定非営利活動法人・海外留学生安全対策協議会の理事にご指名を頂きました森純一です。就任に当たりまして、私の国際教育への思いと就任の抱負について述べさせて頂きます。
私が初めて海外留学したのは、1969年の夏休みでした。ロスアンジェルスの英語学校に5週間行かせてもらいました。大学紛争のなかで運動部ばかりやっている私を心配した父親から「LAに行って来い」と言われ、「えっ」と驚いたことを今も思い出します。就職した銀行では1年間のドイツ留学をさせてもらいました。ドイツ人学生と一緒にビールを飲み議論をした心躍る体験は、今でも忘れられないものです。これらの留学経験は、私の人生を決定づけたと言っても過言ではありません。
2004年から京都大学・ダナン大学・京都橘大学で、合計20年近く国際教育に携わることになりましたが、自身の留学経験が、国際教育推進のエネルギーの源でした。直接に海外を経験すること、相互の文化理解に努めること、国や民族、また言語能力に関わらず相手の懐に飛び込んでの議論の大事さなど、ぜひ若い学生諸君に学んでもらいたいと心から願っています。
2020年初からの新型コロナウィルスの蔓延は、国際教育に携わる者に、とてつもない影響を与えました。突然の留学停止、帰国、オンライン講義への振り替えなど、想像もしなかった出来事が続きました。この難局を乗り切った皆様に心からの敬意を表したいと思います。
コロナ禍のなかでも、多くの関係者は学生の海外派遣を諦めず、様々な工夫を行いました。本年の初めからは海外派遣が再開し、おそらく来年までには短期派遣を含めての学生派遣や受入は正常化していくものと思われます。
世間ではグローバリゼーションの終焉と騒がれることもありますが、日本が生きていく道は国際的な連環のなかでしかあり得ないことは、地球温暖化防止のために世界で進む急速な自動車産業の変化や、ロシアのウクライナ侵攻が引き起こす世界的な食糧危機などを見れば、明らかです。海外留学が教育のなかで占める役割は、むしろますます重要になると確信しています。
そして海外派遣における危機管理は、国際教育推進の最初の必須条件と言っても過言ではありません。JCSOSは、池野健一理事長のリーダーシップのもと、創立以来一貫して国際教育の危機管理において、先導的な役割を果たしてきました。このたびのJCSOSの理事就任にあたり、伝統を忘れず、改めて使命の大事さを確認し、日本の国際教育発展にわずかでも貢献が出来ればと希望する次第です。
2022年7月